テレビドラマ

2022年6月22日

 今回のクールはドラマが面白い。
『スナックキズツキ』は傷ついた日替り主人公たちの悩み事が他愛なくて安心感がある。彼らの心を癒す方法が毎回トリッキーで笑える。原田知世が良い。
『和田家の男たち』は大石静先生の脚本に円熟味とチャレンジ精神が同居していてグルーブ感がある。段田安則と佐々木蔵之介と相葉くんが親子という有り得んキャスティングも妙に味わいがある。
『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』は木村多江さんがお姉さん役ってのがシュールで可笑しい。それにわたしは昔数年阿佐ヶ谷に住んだことがあって単純に懐かしい。
『ドクターX』もいつも通り面白い。
 今回のドラマは女性の脚本家が多いですね。
『日本沈没』は始まる前から楽しみにしてたが、回を重ねるにつれて話がもっさりとしてきた。『日本沈没』ってこんな話だったっけか。
 日本列島が沈没する時に1億3千万の人間をどうするのかというのは、本当に描こうとしたならNHKの大河ドラマでやるような壮大なテーマだ。それを10時間やそこらで語ろうとしているわけだが、7話を終えたところで主人公たちは相変わらず権力闘争と姑息な根回しに明け暮れている。「日本が戦後血みどろで培ってきた技術が買い叩かれて切り売りされるのか!」とか嘆いてみたり、「難民になって外国に行ったらどうせ地獄の日々が待っているのだから」と汚職に走ってみたり。「それでも生きてさえいれば道は開けます」と涙ながらに訴えてみたりと、そんなこと言ってる暇あるんかよ、と突っ込み入れたくなる展開が逆にリアルだがドラマとしては実につまらない。
 2020年、日本での難民申請者は3,936人、認定者は47人。認定率0.011941056%である。これは先進国ではぶっちぎりで少ない。「ぶっちぎり」なんて言葉で言い表せないくらい少ない。加えて、技能実習生に対する人権無視の搾取労働が国際的に問題になりつつある現状を考えると、日本列島が沈没するんだから1億3千万人受け入れて下さいなんて言われて国際社会はどう思うんだろうか。トヨタの自動車生産技術をすべて捧げますから、なんて言われて喜んで日本人を受け入れる国があるんだろうか。個人的にはそれでも国際社会は日本人を受け入れてくれるだろうと思う。全員は無理かもしれないけれど。人間どこでもそんなに捨てたもんじゃないだろうと思うのである。

 いつだったかマルキョウの精肉工場で短期のバイトをしたことがあった。高速道路が交差する街外れの川べりにあった。9階建てで、休憩室にしか窓がない大きな監視塔みたいな建物だった。工場労働者の主力はオバサンとベトナム人とネパール人だった。いやぁ、おばちゃんって凄いなと思ったものです。仕事のスピードにとてもじゃないがついて行けませんでした。外国人たちもよく働いてた。ただ、彼ら遅刻だの無断欠勤をする。それがいけない。ベトナム人よりもネパール人とよく話した。「俺ネパールは行ったことあるんだぜ」と言うと、それだけで大層喜んでくれた。ヒジャルという名の暗い目をした三十男はいくつかの国を転々とした後にいま日本にいる。日本でもいくつか町を渡り歩いた。埼玉とか大阪とか。どこの国がましだった?とわたしが尋ねると、「日本がいい」と即答した。
「日本人が一番優しい」とヒジャルは言う。
「ネパール人も優しかったよ」とわたしは言った。本当にそうだったから言ったのだ。言っちゃあ悪いけど商魂逞しいインド人と比べると隣のネパール人は極めてのんびり穏やかだった。
「いや」とヒジャルは言う、「ネパール人もダメだよ。悪い奴らたくさんいるよ。日本人が一番優しい」
 わたしは帰属意識に乏しくて、自分が生まれた場所やら所属している集団やらにそれだけで愛着を持ったりしないタイプの人間だが、遠くネパールの見知らぬ青年にそう言われて素直に嬉しかった。

PS;面白い動画をみつけました。

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Posted by aozame