『1999年のサーフトリップ』の扉

『1999年のサーフトリップ』の扉は2005年の冬辺りに撮られた、日産ダットサントラックのたぶん720型の写真である。

「720型」は1975年から1985年にかけて発売されたモデルだ。この720型は山口県の小さな町にある寺の住職が下関へ檀家参りをした帰りに立ち寄ったスナックで地元のヤクザと喧嘩になり脇腹をドスで刺された際の慰謝料で購入した。
我がキャプテン・メモハブが裏山にあるその寺の住職の娘に英語を教えて町一番の公立高校へ合格させた礼に譲り受けた時はまだ旧車というほどの風格は持ち合わせていなかったはずだ。
1999年、われわれはこのダットサンでサーフィンをしながら日本の南から北、あるいは西から東へ向けてほとんど5千キロの距離を走った。

2005年にキャプテン・メモハブの打ち捨てられた裏庭でススキとブタクサに覆われてダットサン720は車語でこう言っているように見える。

  どこへでもお前らが行きたいとこへ
  行くといいよ
  だけど
  俺のことは
  もう
  あてにしないでくれよな

 キャプテン・メモハブの教え子である住職の一人娘は高校を卒業して、なぜかハワイの大学へ進学した。それからずいぶん時が経ったが、その後の続報は聞かない。彼女はどうしただろうか。ハワイでサーファーになったのかな。それとも山口にアメリカ人の婿を連れて帰ってきたかもしれない。日本海の片田舎にアメリカ人の坊さんがいたら、そしてそいつがサーファーだったらなんだか面白いね。

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Posted by aozame